Y染色体D1a2a3系統
アフリカ大陸の北東部にいた古代(約6万8,500年前)のある一人の男性の遺伝子に起きたYAPと呼ばれる因子を持つ系統。この系統は、Y染色体上の長腕部「DYS287 Yq11」に、約300塩基からなるAlu配列(Alu sequence)の挿入多型を余分に持つことで知られる。
(左)D1a2系統の分布図 (右)D系統の拡散経路を示す想定図(2017)
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Y染色体ハプログループD1a2a系統(Yap+)【日本固有種】
Y染色体D1a2a3系統(Yap+)【日本固有種】
分子時計の推算によれば、ハプログループD1a2aからハプログループD1a2a3(CTS6609)へは、約1万6,000年前に分岐した系統である。
Y染色体D1a2a3a系統(Yap+)【日本固有種】
分子時計の推算によれば、ハプログループD1a2a3からハプログループD1a2a3aへは、約1万3,000年前に分岐した系統である。
饒速日命
饒速日命(Nigihayahi-no-mikoto)のY染色体は、ハプログループD1a2a3a(D-CTS1897/Z1574)系統であると推定される(注1)。これは、物部氏から得られたデータに基づくものである(注2)。
(饒速日命) (物部守屋)
DYS | 393 | 390 | 19 | 391 | 385a | 385b | 426 | 388 | 439 | 389i | 392 | 389ii |
Alleles | 13 | 26 | 16 | 10 | 12 | 16 | 11 | 12 | 13 | 13 | 11 | 30 |
DYS | 458 | 459a | 459b | 455 | 454 | 447 | 437 | 448 | 449 | 464a | 464b | 464c |
Alleles | 16 | 10 | 10 | 11 | 11 | 25 | 14 | 17 | 29 | 17 | 17 | 17 |
正史によれば、饒速日命は神武東征に先立って大和国(現 奈良県)を平定した一族であると記録されている(注3)。饒速日命の子孫は、物部氏、石上(いそのかみ)氏、阿刀(あと)氏などを本流として栄えた古族。秋田の唐松神社は神功皇后の創建で、天喜5年(1057)に源義家が再建した。その後、延宝8年(1680)に現在の場所に移転。宮司は代々物部氏が務めた(注3)(注4)(注5)。饒速日命の息子・可美真手(ウマシマデ)は、『魏志』に載す「都市牛利(ツシゴリ)」、長髄彦(ナガスネヒコ)は「難升米(ナシメ)」のことに比定する説がある。
物部守屋と崇仏・廃仏論争
敏達天皇14年(585)、「一部の人々が蕃神(外国の神, =仏教のこと)を信奉したために疫病が起きた」と物部守屋や中臣勝海(中臣氏は神祇を祭る氏族)らが奏上し仏教の禁止を求めた。天皇は仏法を止めるよう詔した。守屋は自ら寺に赴き、胡床に座り、仏塔を破壊し、仏殿を焼き、仏像を海に投げ込ませた。その後、用明天皇2年4月2日(587)、用明天皇(聖徳太子の父)は病になり、三宝(仏法)を信奉したいと欲し、群臣に議するよう詔した。物部守屋と中臣勝海は「国神(日本古来の神々)を疎かにして他神(外国の神)を敬うなど、前代未聞の暴挙である」と反対した。
注1)FTDNA"Y-DNA D Haplogroup Project"(Kit Number:348320, Obara)
注2)Ysearch"Haplogroup D2a"(User ID:6CHW8, Obara)
注3)『日本書紀』(卷第3 神武天皇即位前紀戊午年12月)
注4)『秋田県立秋田高等学校 同窓会(物部長穂)』(2014.5.2)
注5)『秋田県の物部氏4』(2014.9.6)
※饒速日命の画像は秋田「唐松神社」所蔵の『饒速日命御神像掛軸』による。
注6)子孫から得られたハプログループD1b1c1c(D-Z30643)の祖系である「D1b1c1(CTS1897/Z1574)」であると考えられる。
坂口和明
IAF Software, Inc.のCEO・坂口和明(Kazuaki Sakaguchi, 1961- )のY染色体は、ハプログループD1a2a3a(D-CTS1897)である(注1)(注2)(注3)。坂口和明の父祖は、奈良県の出身。坂口和明のミトコンドリアDNAはこちらを参照。
注1)『デイリー・東京スポグチ』
注3)ISOGG 2017(ver12.01)による表記。原文による表記では「D2a(D-M116.1, subclade-CTS1897)」である。
Y染色体ハプログループD1b1c1a (Yap+)【日本固有種】
うひろぐの執筆者
ブログ『うひろぐ』の執筆者のY染色体は、2009年にナショナル・ジオグラフィック協会の「GENOGRAPHIC PROJECT(Geno1.0)」で、D1a2(D-M64.1)と判定されたが、その後、STRを比較した結果、Y染色体は正確にはハプログループD1a2a3a1a(D-CTS218)であろうと推定されている(注1)(注2)(注3)。執筆者の父系祖先は九州の出身。
DYS | 393 | 390 | 19 | 391 | 385a | 385b | 426 | 388 | 439 | 389i | 392 |
Alleles | 13 | 25 | 15 | 10 | 15 | 17 | 11 | 12 | 12 | 13 | 11 |
注1)『ミトコンドリア・イブを探せ』(2009.1.16)
注2)『オイラのY染色体DNAが判明しました』(2009.3.1)
注3)『オイラのmtDNAが判明しました』(2009.4.30)
- 最終更新:2019-10-11 16:56:56