Y染色体D1b系統

d_d1_d2.jpg
D1系統の拡散経路を示す想定図(2017)

アフリカ大陸の北東部にいた古代(約6万8,500年前)のある一人の男性の遺伝子に起きたYAPと呼ばれる因子を持つ系統。この系統は、Y染色体上の長腕部「DYS287 Yq11」に、約300塩基からなるAlu配列(Alu sequence)の挿入多型を余分に持つことで知られる。

Y染色体ハプログループD1b系統(Yap+) 【フィリピン固有種】

分子時計の推算によれば、ハプログループD1(D-M174)からハプログループD1b(D-L1378)へは、約4万7,000年前に分岐した系統である。

ホアキン・ドロイ

フィリピンの実業家・ホアキン・ドロイ(Joaquín Doroy, 1926-故人)のY染色体は、ハプログループD1b(D-L1366)である(注1)(注2)。ホアキンの父、アレハンドロ・ドロイ(Alejandro Doroy, 1900-故人)は、フィリピンセブ州マクタン島ラプ=ラプ市の名家出身(注3)(注4)。

lapulapu.jpg
  (マクタン島の英雄・ラプ=ラプ)
ラプ=ラプ市は、世界一周航海の途上でフィリピンへ来航し、キリスト教への改宗と服従を迫るフェルディナンド・マゼランに対抗したマクタン島の部族長で英雄・ラプ=ラプがマゼラン軍を破り、マゼランを討ち取った場所である。このため、ラプ=ラプはヨーロッパ人のアジア侵略に対して立ち上がった最初の東南アジア人であるとされ、ラプ=ラプ市は、ヨーロッパ人のアジア侵略に対して立ち上がった記念すべき場所として有名である(注5)。

注2)ISOGG 2014(ver9.66)による表記。原文による表記では「D4(D-L1366)」である。
注5)『マゼラン最初の世界一周航海』ピガフェッタ著、長南 実 訳、岩波書店、岩波文庫、2011年、ISBN 978-4-00-334941-0


modoru.jpg susumu.jpg

  • 最終更新:2019-10-11 17:09:06

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード