mtDNA U系統

ミトコンドリアDNAハプログループU系統

バイカル湖辺・マリタ遺跡古代人骨 (MA-1)

1928年、シベリアのバイカル湖辺のマクソホン村のマリタ遺跡で発見された24,000年前の古代人骨(MA-1)のミトコンドリアDNAは、ハプログループUである(注1)(注2)。これは、サンクトペテルスブルクのエルミタージュ美術館に保管されていた人骨(MA-1)から採取したサンプルを解析した結果によるものである。この結果に伴い、マリタ遺跡古代人骨(MA-1)は、現代のアメリカ大陸先住民と遺伝的には近縁で、東アジア人には類似していない領域があることが明らかとなった。


ミトコンドリアDNAハプログループU2系統

コステンキ遺跡出土人骨(Kostenki 14)

1954年に、ロシアヴォロネジ州のドン川近くにあるコステンキ遺跡から発掘された旧石器時代(約3万8,700-3万6,200年前)の狩猟採集者である若い男性の古人骨・コステンキ14号(Kostenki 14)の尺骨からDNAを抽出し解析を行った結果、ミトコンドリアDNAは、ハプログループU2であることが明らかとなった(注1)(注2)。コペンハーゲン大学の遺伝学者・エシュケ・ウィラスレフ(Eske Willerslev)は、従来考えられてきたヨーロッパ人の起源を覆すもので、ヨーロッパには段階的に流入したのであろうと考えられてきた特徴的な遺伝子の痕跡が、この3万年前のコステンキ14号古人骨の遺伝子から検出されているという結果を発表した(注3)(注4)(注5)。
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注1)Paul Rincon, 2010, "DNA analysed from early European" BBC News

ミトコンドリアDNAハプログループU5系統

チェダー渓谷人(Cheddar Man)

イングランド最大の峡谷であるチェダー峡谷から出土した、約12,000年前の古代人骨・チェダー渓谷人(Cheddar Man)のミトコンドリアDNAは、ハプログループU5aである(注1)。

注1)"The Cheddar Man"(7MRU2)

クロマニョン人(Cro-Magnon man)

スイスで発見された約13,000年前のクロマニョン人(Cro-Magnon man)のミトコンドリアDNAは、ハプログループU5b1hである(注1)。これは、2015年に遺伝子解析した結果に基づく(注2)。クロマニョン人のY染色体はこちらを参照。
cro_magnon_man.jpg
注2)Eppie R. Jones, Gloria Gonzalez-Fortes, Sarah Connell, Veronika Siska, Anders Eriksson, Rui Martiniano, Russell L. McLaughlin, Marcos Gallego Llorente, Lara M. Cassidy, Cristina Gamba, Tengiz Meshveliani, Ofer Bar-Yosef, Werner Müller, Anna Belfer-Cohen, Zinovi Matskevich, Nino Jakeli, Thomas F. G. Higham, Mathias Currat, David Lordkipanidze, Michael Hofreiter et al.(2015)Upper Palaeolithic genomes reveal deep roots of modern Eurasians Nature Communications 6, Article number: 8912 doi:10.1038/ncomms9912

(picture all from Wikipedia)

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  • 最終更新:2017-03-24 18:02:21

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